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東京地方裁判所 昭和42年(行ウ)214号 判決

原告

小坂彰

代理人

田口康雅

被告

東京郵政局長

中田正一

代理人

永津勝蔵

外四名

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者双方の求めた裁判

〈省略〉

第二、当事者双方の事実上、法律上の陳述

(原告の請求原因)〈省略〉

(被告の答弁および主張)〈省略〉

(被告の主張に対する原告の答弁および主張)〈省略〉

(原告の主張に対する被告の答弁および反論)

〈前略〉

二、(一) 現業の国家公務員に対して懲戒処分その他の不利益処分が行われた場合に、その不服申立事由が当該処分自体の違法を理由とする場合と不当労働行為を理由とする場合とでは救済手続が截然と区別されている。すなわち、前者の場合は、まず人事院に対し不利益処分の審査請求をし、人事院の判定に不服があるときは不利益処分の取消しを求める抗告訴訟を提起することができ、後者の場合は、公労委に対して救済の申立をし、公労委の命令に不服があるときは、公労委を被告としてその命令の取消しを求める抗告訴訟を提起することができることになつている。右の二つの救済制度は全く別個の自己完結的なものであり、不当労働行為については、法はその救済手続として原処分を対象とする取消訴訟を予定していないのであるから、懲戒処分の取消しを求める本件訴訟において不当労働行為を処分の違法事由として主張することは許されない。〈後略〉

第三、証拠関係〈省略〉

理由

一原告が昭和二九年七月郵政省職員となり、昭和三三年三月から昭和三四年五月まで東京空港郵便局の連行課で、その後は同局の通常郵便課で勤務している郵政事務官であつて、昭和三五年五月から一年間同局職員で構成する全逓信労働組合東京空港郵便局支部の執行委員、昭和三七年六月から昭和三八年一一月まで同支部職場委員兼職場委員会議長の地位にあつたことは当事者間に争いがない。

二被告が昭和三九年三月二八日原告に対し、次の(1)ないし(3)の処分理由にもとづき、六ケ月間俸給月額の一〇分の一を減ずる旨の懲戒処分を行つたことは当事者間に争いがない。

(1)  昭和三八年八月一日関係

イ  同日午後四時五五分頃、空港局職員神子高人など空港支部役員および原告ならびに同局通常郵便課職員計一七名が、同局通常郵便課計画主事席わきにきて、勤務中の同課主事山下作三に対し、上記神子など支部役員が口々に「なぜメモをとつたのか。」と抗議し、神子は膝で山下主事の膝を押し、また肘で同主事の肩を小突いた。

ロ  同日午後五時頃、神子は、同局通常郵便課長席のわきに行き、通常郵便課長前田敏行に対しメモをとることについて同主事へ命令を行なつたかどうかを確かめ、同課長がこれを肯定したところ、数名の職員は口々に大声をあげて抗議し、また数名の職員は「メモをよこせ。」などとの趣旨の発言をしたのに続いて、一名の職員が読みあげろと発言したところ、原告は、同主事席の机上に置いてあつた同主事のメモを手にとつて読みあげ、午後五時四五分ごろ、同主事が席をたつたところ、原告は「今日に限つてなぜ早く帰るのか。」といいながら同主事の胸ぐらをつかんで押えつけていすに腰かけさせ、さらに神子は同主事に対し「官側の犬だ。」といつて同主事の顔面に二回唾をかけ、午後五時五五分ごろ解散した。

ハ  この間、原告を含む上記の職員は午後四時五五分ごろから同五時一五分ごろまでの約二〇分間勤務を欠いた。

(2)  同年一一月一五日関係

原告は許可なくして左記勤務時間を欠いた。

イ  同日午前一〇時五分頃より同時二〇分頃まで約一五分

ロ  同時四五分頃から午後〇時三〇分までの間所定の一五分間の休息時間を除いた約一時間三〇分

(3)  同年一二月三日関係

原告は、同日午後四時四七分頃から五時一五分までの間許可なくして勤務を欠いた。

原告は、本件処分の理由としては、右(1)ないし(3)のほか「(4)原告および神子ほか空港局職員三名が昭和三七年一一月一二日午前九時五〇分頃から五五分頃までの間、同局通常郵便課事務室において、山下主事を殴打するなどして全治約一ケ月の傷害を与えた。」との事実も含まれていると主張するけれども、〈証拠〉を総合すると、右(4)の事実は、本件処分の量定上斟酌された事情に過ぎないことが認められ、右認定を覆すべき証拠は存在しない。

三そこで、まず本件処分の対象となつた原告の所為について順次判断する。

(一)  処分理由イ、ロについて

〈省略〉

(二)  処分理由(1)ハについて

原告が、昭和三八年八月一日午後四時五五分頃から五時一五分までの間上記前田課長および山下主事に対する集団抗議に参加していたことは当事者間に争いがない。

原告は、当時の空港局における許された慣行として、日勤者の勤務時間は午後四時三〇分業務終了、午後四時五〇分退局とされていたから、午後四時三〇分以後の欠務を問題とする余地はない、と主張するので判断する。

〈証拠〉を総合すると、次の諸事実を認めることができる。

(1)  昭和三八年当時施行されていた郵政省就業規則、郵政事業職員勤務時間、休憩、休日および休暇規程にもとづいて定められた空港局通常郵便課服務表によると、一週間のうち一日は、半日勤(午前八時三〇分から午後〇時三〇分まで)の勤務をする日勤者の勤務時間は、午前八時三〇分始業、午後五時一五分終業で、休憩時間は午後〇時一五分から午後一時まで四五分間、そのほか午前、午後にそれぞれ一五分間の休息時間を設けるものと定められていた。

(2)  ところで、勤務時間が右のように定められたのは、昭和二八年の就業規則改正によるものであつて、それ以前は休憩時間が三〇分であつたものを労働基準法三四条に適合するよう四五分に改めた結果、それに伴い従来五時までの拘束時間が五時一五分に延長されることになつた。しかしながら、郵政省当局は、従来の実情や拘束時間を一五分延長することは暫定協定違反であるという組合の主張を考慮して、午後の勤務時間中にとるべき一五分間の休息時間を最後にとつたこととし、実際上は従来どおり午後五時に終業、退局することを包括的に黙認する取扱をしていた。

(3)  原告の所属する空港局通常郵便課特殊係は、外国向けの書留郵便物の国別区分、目録の作成、郵袋納入、発送(いわゆる差立処理)と外国から到着する書留郵便物および国内の書留郵便物の区分、目録作成、郵袋納入、発送(いわゆる到着処理)を主たる業務内容としていたが、差立、到着ともに郵便物の受入れは継続的に行なわれるものであつたので、日勤者は、例えば差立の場合、当日午後八時頃までに出発する航空機に搭載すべき郵便物の差立準備をすることともに、翌朝までに発送すべき郵便物の差立の下ごしらえをして夜勤者に引き継ぐという形態で業務を処理しており、引受相便物の量によつては、日勤者の仕事が午後四時三〇分以前になくなることもないではなかつたが、そのようなことが業務の常態というわけではなかつた。

(4)  ところが、佐藤局長の着任以前は、空港局の職場規律はかなり弛緩しており、午後四時三〇分頃までに、まだ処理すべき仕事が残つているにもかかわらず、これを仕舞つて退局する職員が相当数存在したが、同局の管理者が右の事実を明示的または黙示的のいずれにせよ承認したことはなく、同局の職員通勤用バスは午後五時頃局舎前に到着しており、佐藤局長は同年七月二七日着任後直ちに上記のとおり組合支部執行部に対して勤務時間の厳守を申し入れている。

以上の事実が認められ、〈証拠判断省略〉。

右認定の事実によると、空港局における日勤者の勤務時間は、就業規則上午前八時三〇分から午後五時一五分までであつて、午後の勤務時間中に設けるべき一五分の休息時間を勤務時間の最後に与えたことにするという空港局管理者側の取扱は、休息時間を設けた制度の趣旨に反するものといわざるを得ない。しかしながら、現業の国家公務員の勤務関係においても、一般の私企業の労使関係におけると同様、使用者(管理者)と労働者(一般職員)の双方に承認された慣行的事実は、職場の労使関係を規律するうえで尊重されるべきものであり、前記認定の事実によると、原告主張のように午後四時三〇分終業、午後四時五〇分退局が許された慣行であつたとは到底認められないけれども、昭和三八年当時空港局においては、日勤者が午後五時に終業、退局することを包括的に黙認する取扱をしていたのであるから、午後五時以降勤務を離れたことをもつて職務に専念する義務を怠つたものとして懲戒処分の対象とすることは許されないと解するのが相当である。

そうすると、原告が上記前田課長および山下主事に対する集団抗議に参加して勤務を離れた所為のうち午後四時五五分から五時までの五分間の欠務のみが、国公法九八条一項、一〇一条一項に違反し、同法八二条各号に該当するものといわなければならない。

(三)  処分理由(2)イ、ロについて

原告が昭和三八年一一月一五日午前一〇時五分から二〇分までの一五分間および午前一一時から午後〇時三〇分までの一時間三〇分勤務を欠いたことは当事者間に争いがない。

原告は、当日朝神野課長代理に組合休暇または年次有給休暇を請求し、同課長代理からその承認を受けたと主張するので判断する。

〈証拠〉を総合すると、次の諸事実が認められる。

(1)  原告は、昭和三八年一一月一五日早朝組合支部から六〇名余の大量の脱退者が出たことを知り、職場委員会議長として支部組合執行部とともに右非常事態に対処する方策をたてる必要に迫られたので、午前一〇時過頃通常郵便課特殊係の作業室入口附近にいた神野課長代理に対し、脱退者が出たため組合休暇がほしい旨申し出た。

(2)  組合休暇とは、郵政省就業規則二八条に規定するものであつて、組合の大会、会議に出席する場合およびその他組合の業務を行う場合にあらかじめ組合休暇付与願を提出して所属長の許可を受けたときは勤務時間中でも組合活動を行える制度であるが(この点は当事者間に争いがない)、右組合休暇付与の運用に関する郵政省官房人事部長の通達によれば、許可の具体的基準としては、「労働組合の生成のため不可欠と思料される活動、たとえば中央本部、地方本部、地区本部、支部等の組合規約で定めらている組合の議決機関(大会、中央委員会、委員会等で定期、臨時を問わない。)の構成員として出席する場合および地区本部における支部長会議、あるいは中支部における分会長会議等で上記議決機関に準じて取り扱うことが適当と認められる機関の構成員として出席する場合、地方本部、地区本部および中支部における執行委員会の構成員として出席する場合、会計監査として監査を行う場合が挙げられ、また組合休暇の許可権限を有する者は空港局においては局長であつて、実際上局長以外の管理職員に許可権限を委ねるということはなされていなかつたし、従来その請求が課長代理を経由して提出されたこともなかつた。

(3)  そこで神野課長代理が原告に対し、「組合休暇については課長代理では難しい。」と返答すると、原告は「それでは組合休暇が難しいならば年休をほしい。」と申し出た。

(4)  就業規則の規定によると、年次有給休暇には計画付与および自由付与の二種があり、いずれも職員の請求に対する所属長の意思表示によつて付与され(八一条)、自由付与の場合、職員は所属長に対して希望する日の前日の正午までに請求書を提出しなければならないが、病気、災害その他やむを得ない理由によりあらかじめ請求することが困難であつたことを所属長が認めたときは、職員は勤務しなかつた日から三日以内にその理由を付して請求書を提出でき(八六条)、また自由付与にかかる休暇は職員の請求する時季に与えるが、所属長が業務の正常な運営に支障を生ずると認めた場合には他の時季に与えることがある(八五条)、と定められていた。しかしながら、当時空港局では、職務規程により局長が右就業規則八一条所定の意思表示をなす権限を各課長に委任しており、通常郵便課における実際上の慣行としては、課長代理がその課に所属する職員からの年次有給休暇請求を受け付けて、当該休暇により業務の運営に支障を来たすか否かを検討し、時季の変更を必要とするような特別の事情がある場合は、課長代理が課長に相談のうえ請求者にその旨を申し入れるが、それ以外の場合は課長代理の判断で処理し、事務手続上事後に課長の決裁を得るという取扱が一般であり、請求の方法についても、原則的には請求書が事前に提出されていたが、急用ができた場合などには口頭による請求も受け付け、出勤簿整理の段階で請求を追完させていた。

(6)  神野課長代理は、原告からの年休請求に対し、「組合活動という理由では許可にならないのではないか。」との趣旨のことを述べたにとどまり、それ以上に業務運営上の支障を理由に年休請求を拒否するとか、時季の変更を申し出るなどのことはなかつたので、原告はそのまま職場を離れ、上記のとおり勤務に就かなかつた。

しかして、原告の当日の勤務は、午前八時三〇分から午後〇時三〇分まで(そのうち午前一〇時四五分から一一時まで休息時間)のいわゆる半日勤であつて、原告が休暇をとることによつて通常郵便課特殊係の業務の正常な運営を妨げる事情が存在したわけではなかつた。

以上の事実が認められ、〈証拠〉判断省略。

右認定の事実によると、原告が組合休暇の許可を受けたことはこれを認めることができない。しかしながら、上記年次有給休暇に関する就業規則八五条の規定は、労働基準法三九条三項と同趣旨を定めたものというべきであつて、自由付与にかかる年次有給休暇の請求が、右請求の意思表示を受理し、また時季変更権を行使する権限を有する者に対してなされたときは、右の意味での使用者側の代表者において、業務の正常な運営に支障を生ずるという客観的事由の存在にもとづき時季変更権行使の意思表示をしない限り、請求者は有効に年次有給休暇をとることができるものと解するを相当とするところ、前記認定の事実によると、原告は、昭和三八年一一月一五日午前一〇時過頃原告の所属する通常郵便課において慣行上有給休暇請求を受け付けるとともに時季変更の意思表示をなす権限を有する神野課長代理に対し、適式な方法で当日の年次有給休暇の請求をしたものであり、同課長代理から時季変更の申入れを受けたことはなく、客観的にも同課の業務の正常な運営を妨げる事由が存在しなかつた以上、原告は、請求どおり適法、有効に年次有給休暇をとつたことになり上記原告の不就労は右有給休暇によるものというべきである。

そうだとすると、上記原告の不就労は、国公法一〇一条一項所定の職務に専念する義務に違反するものではなく、したがつて就労義務を前提とする就業命令違反の成立する余地もないのであるから、右原告の所為を懲戒処分の対象とすることは許されないものといわなければならない。

(四)  処分理由(3)について〈省略〉

四次に被告主張の処分量定の事由および本件処分の相当性について判断する。

〈証拠〉を総合すると、次の諸事実が認められる。

昭和三七年一一月一二日午前九時三〇分頃、空港局通常郵便課特殊係作業室において、原告が亀井課長代理に対し、作業室の拡張問題について課長代理の努力が足りないと難詰している最中に、その場へ来た山下主事が傍から補足的な説明をしようとしたところ、原告は同主事に「亀井さんと話をしているのでお前には関係がないから出て行け」といつた。すると、同主事は激昂して「なんだ、この野郎」といいながら原告の方に歩み寄り、矢庭に原告の胸を強く突いたので原告は後方に置いてあつた郵便物用の竹籠の中に顛倒し、起き上つた原告の胸のあたりを山下主事がなおも掴んで両者取つ組み合いの喧嘩をはじめたので、周囲の職員が仲に入つて制止した。その後、山下主事が原告に暴力を振つたことを聞きつけた組合支部役員および職員らは、同日午前九時五〇分頃特殊係作業室前廊下において、山下主事を取り囲んで報復的に暴行を加えたが、原告は右集団暴行を使嗾したり、現実にこれに加わつたことはなく、もつぱら傍観していたに過ぎない。そして、同日午前一一時頃、当時の原告の上司山本通常郵便課長が原告の席へ来て原告に対し、「監督不行届きであんなことになつて申訳けない。このことはなかつたことにして貰いたい」との趣旨の詑びを申し入れた。

以上の事実が認められ、〈証拠判断省略〉。

右認定の事実によると、昭和三七年一一月一二日の事件は、原告の山下主事に対する言辞に穏当を欠く点があつたにせよ、一般職員の指導的立場にある同主事が軽率にも原告に暴力を振つたことに主たる原因があるのであつて、両名の喧嘩について原告を非難することは相当でなく、また、その後の同主事に対する集団暴行行為については、原告はこれに何ら関与していないのであるから、原告を懲戒処分に付するに当つて右事件を原告に不利な情状として斟酌することは許されないものといわなければならない。

しかしながら、右事件を斟酌することが許されないとしても、上記処分理由(1)イ、ロの前田課長および山下主事に対する集団抗議ならびに山下主事の身体に手をかけて実力を行使した所為、処分理由(1)ハの右集田抗議中午後四時五五分から五時まで五分間勤務を欠いた所為、処分理由(3)の管理者側の勤務時間厳守の警告が再三繰り返された後になおも午後四時四七分から五時まで一三分間勤務を欠いた所為を総合して考えると、被告が、職場秩序維持の見地から、原告に対し六ケ月間俸給月額の一〇分の一を減する減給処分をもつて臨んだことは、客観的妥当性を欠く措置とはいい難く、裁量の範囲内における相当な懲戒処分ということができる。

五次に不当労働行為および懲戒権濫用の主張について判断する。

被告は、懲戒処分の取消しを求める訴訟において、不当労働行為を処分の違法事由として主張することは許されない、と主張するので検討する。

懲戒処分を受けた現業の国家公務員が、右処分をもつて不当労働行為に該当するとする場合には、行政不服審査法による不服申立(人事院に対する審査請求または異議申立)をすることはできず(公労法四〇条三項))公労委に救済の申立をし(公労三条、一五条の五)公労委の命令に不服があるときは直接公労委を被告として当該命令の取消しを求める抗告訴訟を提起できることは被告主張のとおりであるけれども、行政処分の取消しの訴えは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する限りこれを提起できるのが原則であり、行政委員会としての公労委における原状回復命令による救済の方法が与えられているといつて、不当労働行為を処分の違法事由として当該懲戒処分の取消しを求める抗告訴訟を提起することが許されないとする法律上の根拠はなく、このことは、一般私企業の労使における不当労働行為について労働委員会に対する救済申立とならんで民事訴訟を提起し得ることと理を異にするものではない。したがつて、被告の右主張は到底採用に値しない。

そこで進んで不当労働行為ないし懲戒権濫用の成否についてみるに、原告が上記のとおり組合支部役員の地位にあつて組合活動を活発に行つたことは、当事者間に争いがないけれども、本件処分が、原告の国公法八二条各号該当の所為にもとづき、処分の量定についても客観的妥当性を有する懲戒処分であることは上記のとおりであつて、それにもかかわらず、本件処分が原告の組合活動を決定的な動機として行なわれたこと、もしくは組合支部の運営に対する介入にあたることを肯認させるに足りる的確な証拠は存在しないから、原告の本主張はいずれも理由がない。

六以上の次第で、本件処分の取消しを求める原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。(西山要 島田礼介 瀬戸正義)

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